2011年(平成23年)
1月8日 S社の2人が林道工事落札の挨拶に来た。宇陀市役所農林課からの事前連絡が全くなかった。
宇陀市HPで調べ 県単林道事業(2月補正分)林道赤埴カトラ線開設改良工事 平成22年12月20日入札結果、落札金額 約3130万円とわかる。
1月11日 農林課へ行き工事内容について聞く。2009年11月に説明あった崩落現場の工事方法と変わっていた。私の所有山林の追加買収をしなくてもできる工事になっていた。
1月29日 農林課職員Kより連絡あった崩落現場の崩れ落ちそうな木を見に行く。工事にかかる前に伐採するという。
2月10日 S社の工事が始まったようだ。向山に見える林道をダンプカーが行き来している。
2月22日 農林課職員Kより連絡あり岩井谷の下方の流末水路整備と他2ヶ所を合わせた工事の入札がありD社が約725万円で落札したとのこと。
2月27日 岩井谷の崩壊現場での工事を見に行く。崩壊の斜面には金属ネットが張られていました。仮設トイレが置かれていました。工事現場の下方の杉に落石から保護する板は取り付けがされておらず 現場の人と農林課に早急に取り付けるよう言った。
3月27日 崩落現場の工事を見に行く。工事により落石がまた多数発生、連絡していたのに杉は何も保護されてなく傷ついていた。農林課に抗議する。
3月29日 農林商工部長Mが退職となりNに変わる。Nも就任後この林道工事に関して一切私と話をしようとしなかった。
4月1日 D社の人が工事の挨拶にやってくる。流末水路整備工事(谷を流れる水と林道を流れてくる水が集まって来る場所)については そばに塔婆石(石碑)があるので慎重に工事していただくこと、毎日工事の前に塔婆石にお供えしてくれるようにお願いしお米と塩を手渡した。
4月7日 S社の崩落現場工事では大型クレーン車が来て長大なドリルを吊り岩盤に穴をあける工事が行なわれていた。すごく大きな音が鳴り響いていた。傷ついた杉には保護板がやっと取り付けられていたが 丁寧には付いていなかった。
4月15,16日 重機で岩を砕く音が鳴り響く。
4月17日 林道の岩井谷までの茶色ガードレールの取り付けが終わっていた。
D社が行なっている向山の山頂近くまでの作業道開設工事で岩の破砕作業が行なわれているのを確認しました。この工事により約30メートル下方の林道に落石の危険が高まり防護柵が取り付けられました。この作業道開設工事は向山の山林を所有している桜井市のMさんが林道開設工事の協力と引き換えに市に作らせたものであろうと思います。
S社の岩井谷の崩落現場工事では補強土壁と呼ばれる工法の巨大な壁の枠が組み上がり後5mほどで峠からの林道とつながる所まで来ていました。
4月18日 岩を破砕する音が響く。農林課へ行き流末水路整備工事の図面をもらう。上方はコルゲートU字フリューム、下方は細い皮付き丸太にて木柵の水路が作られる予定である。
4月20日 S社の大型車通行表示あり15台のコンクリートミキサー車が通行し現場へ登る。
4月21,22日 岩を砕く重機の音が響く。
4月23日 コンクリートを流し込む型枠資材がS社現場に運ばれた。
4月24日 岩井谷の崩壊現場の林道がつながっていた。谷側の路肩にコンクリートの壁が作られてゆく。
4月25日 S社の大型車通行表示25台とあり、コンクリートポンプ車とミキサー車が来た。
4月26,27,28、29日 大型車の通行続く。
4月30日 S社の大型車通行表示30台、道路をならす重機が運びこまれた。ミキサー車も来る。
5月1日 日曜日だが大型車も来て工事は行なわれている。岩を砕く音が響く。
5月2日 工事がまだ続いているが現場の仮設トイレがトラックでどこかへ運ばれて行った。
5月3,4,5日 祝日であるが大型車が来て工事は行なわれている。
5月6日 大型車25台の通行表示あり。D社の流末水路整備工事の現場立会いに行く。中型のパワーショベルと運搬車が室生古道を通り現場に置かれていた。工事のじゃまになるまだ細い杉3本を伐ることを了承する。つながった林道を通り大型ダンプカーが運んでいる多量の砂利は室生側の林道舗装工事のために運ばれていることがわかる。室生側からの林道入り口付近には道幅が拡張されず狭いままの所があり大型ダンプカーは通行できない。
5月7日 大型車10台通行の表示あり。
5月8日 日曜日だが工事は行なわれている。
5月9,10日 大型車の通行続く。農林課に行き職員Kに聞く。休日なく工事が続く理由は5月中に工事を完成させたいからだという。S社が杉の幹の保護をせず工事を始め 落石により木を傷めた理由は 農林課からS社に連絡はしたが現場の人間への連絡ができていなかったためだという。明日以降に業者はクレーン車で落石を引き上げる予定という。崩落した現場の土地は今後も崩れる危険があるので市が買い取る予定があるとのことだった。
5月11日 雨天であったが大型クレーン車が工事現場へ登る。
5月14日 土をならす大型機械が大型トラックに載せられ下って来た。工事現場を見に行く。N社(豊中市)により舗装の準備が進んでいた。16日に室生側から舗装工事を始め17日には赤埴側まですべてを舗装するとのことだった。潅木が刈り払われ流末水路工事も進んでいた。
5月16日 大型車25台の通行表示あり。
5月17日 大型車25台の通行表示あり。
5月18日 流末水路工事現場にコンクリートポンプ車とミキサー車が入る。
5月20日 大型トラックで林道に多量のガードレール部品が運び込まれた。
5月22日 S社の大型車通行表示看板が撤去された。
5月31日 林道が開通した崩落地にて農林課課長M,職員Kと市の買収予定地確認の立会いをした。地図だけではわからないので杭を打ち ひもで囲ってもらうこととなった。Mによれば下方に転がっている落石を再度できるだけ取り除くとのこと。傷ついた杉は5月14日にKが計測したという。S社の工事については岩盤に3mから2.5mのロックボルトを25本打ち込んだことがわかった。岩井谷下方にほぼできあがっている流末水路に行くと工事により水路近くの杉の幹に傷がついていました。
6月5日 岩井谷に行くと流末水路は完成していた。
6月27日 崩落した林道に行き上方と下方に打たれた杭とビニールひもを確認した。
7月25日 市役所農林課にてM課長に林道について聞く。現在 農林課職員で林道の側溝を清掃しているという。7月に通行止めを解除しようと思っていたがならなかったという。林道は急カーブの連続だがカーブミラーをつけないという。落石注意の看板は準備しているという。
9月1日 職員Kより「崩壊現場林道での立会いの準備できたので都合のよい時間をお知らせください、林道は9月5日に通行止めを解除する」 とメールが来た。工事に協力してきた地区民に余裕をもった事前の連絡なく一方的に通行止めを解除し開通させる農林課のやり方に電話で抗議する。
9月4日 台風12号の豪雨被害が発生、宇陀市でも山や川が崩れる。赤埴カトラ線林道から流れてきた土砂と石で赤埴上の道路は一時通行できない状態になった。
9月5日 林道の開通は中止となった。
9月6日 林道に大型トラックに載せられた重機が運ばれた。
9月12日 林道に大型トラックに載せられた重機が運ばれた。
9月14日 大型トラックが巨大な土のうを積んで林道を往復した。
軽トラックで林道の台風被害確認に行く。林道工事により赤埴にできた運動場ほどの広さがある残土置き場には角材の杭とトラロープによる簡易柵が設置されていた。林道から横に入る細い林道では大水により路肩がえぐり取られていた。岩井谷では林道のガードレールの根元が崩れ傾いていた。谷の水路の横の土が流されているところがあり流末水路では水路に打たれた丸太の根元が大水のため浮いた状態になっているところがあった。室生側を下ってゆくと山から鉄砲水が発生したところがあった。道路が押し流されたようで巨大な土のうを川の護岸に並べ仮復旧されていた。
9月22日 農林課に行く。Kはいなくて課長Mに聞く。9月5日に林道を急いで開通しようとしたのは佛隆寺へ車で彼岸花を見にくるハイカーのためだということがわかった。
10月1日 赤埴乙自治会の回覧にて林道を10月11日に供用開始するとの農林課の文書が回ってきた。
10月11日 林道の供用開始。林道入り口に置かれていた通行止めの柵は林道横に置かれていた。台風12号の大雨で崩れた岩井谷の路肩は復旧されていた。排水路の近くの土が流された部分はそのままだった。
12月 いつのまにか仏隆寺駐車場近くの電柱に室生寺へ5キロの看板が取り付けられていました。
2012年(平成24年)
1月12日 林道建設予定地となった私の所有山林の買収交渉時に何度も会った宇陀市役所の元農林商工部長Aさんが 癌のため死去した。在職中に癌がわかり闘病中であったとお聞きしました。
1月16日 室生で造園業をされていて今は引退しているというHさんが岩井谷に置かれている伐採木を薪にもらいたいと自宅を訪ねて来ました。林道工事を行なったH社の人に聞いたという。無償でほしいというとのことなのですが 自分と友人、森林組合に委託して伐採し時間と費用がかかっているので無償とはいかないと話したところあきらめて帰られました。
3月20日 午前中、室生古道を歩いて岩井谷に行く。古道には落石が多数あり、大雨で流れて軽トラックが登れない状態です。工事は終わっていますが 古道から谷に入る場所に立てている農林課設置の「この奥 林道工事中に付き危険」の立て看板はそのままでした。午後、林道を岩井谷へ軽トラックで行く途中 70センチほどの大きな石がガードレールの近くに落ちていてその上にぶつからないようにとカラーコーンが乗せられていた(後日 農林課がクレーン付トラックで運び出した)。
3月26日 農林課へ行く。農林課M課長と話す。M課長は4月から水道課へ移動し新しい課長には1月に亡くなったAさんが部長だった当時の農林課主幹Tがなるという。林道担当職員Kに林道工事による山崩れ被害について今後どうするかを聞きたいので私に連絡をくれるよう言う(その後 連絡なし)。
4月
仏隆寺駐車場の農産物直売所にこのような文章をハイカーに向けて書いて掲示した。
「仏隆寺駐車場より室生寺への林道が2011年10月に開通しておりますが林道は 急坂、急カーブの連続、落石あり、幅員が狭い場所あり、鹿の飛び出しあり、約5キロ人家なし、の危険があります。安全のため今まで通り国道を通って室生寺へ向かわれることをお勧めします」
4月5日 林道開設工事ともかかわった赤埴の山林を多く所有し 2人を雇用して木材を伐り出していた桜井市に住むMさん(75歳)が作業員と赤埴内の山林にて伐採木を玉切り作業中 滑り落ちてきた丸太が頭に当たり脳挫傷で死亡した。ヘルメットは被っていなかったという。
4月26日 農林課にて林道担当職員Kに会う。なんで連絡しないのかと聞いたがあいまいな返答、視線を合わそうとしなかった。
7月15日 7月の大雨があったあと初めて 室生寺の近くの龍穴神社まで林道を使い行った。赤埴側林道の急坂の側溝は山からの石や砂や落ち葉が詰まり道路にあふれて道の半分をふさいでいるところがあった。岩井谷は山道が草に覆われていた。林道からの流末水路は昨年9月の台風による被害で止まっているようで安心した。
峠から室生への林道には各所に放置されたままの融雪材が破れ散乱しているところがあった。腰折れ地蔵から少し上の林道には獣害防止柵のゲートがあり閉じられていた。手動で開け閉めができます。「獣害対策による施設です、入出後の戸締りにご協力をお願いします」と書かれている。
まとめ
2009年9月2日岩井谷での工事中、山が崩落した事故は人が一人死んでいてもおかしくない事故だった。でもそのまま なにもなかったように農林課は工事を進めようとしました。それ以降 私は一人 林道建設に反対の立場をとってきました。そして宇陀市役所農林課は都合の悪いことには口をつぐむようになり 私を無視して林道を完成させました。私の所有林には 事故後の復旧のための木々の伐採、落石による山地崩壊、その後の林道工事の落石による木の幹被害がありますが現在、補償される見込みはありません。赤埴の住民は林道の管理に宇陀市から駆り出されるはいやだと林道について今後も無視する立場をとっています。大雨のときは特に危険だから通行しないようにというのが住民の申し合わせです。
誰のためのなんのための林道なのでしょうか?林道ができても放置され荒れてゆく森林の整備は進みません。自然環境破壊のために作ったのですか?聞いても答えてくれる人がいません。かかわった誰もが無責任です。
2012年(平成24年)8月9日